7年目の冬、本気で退職届を書きかけた話
最初に言っておくと、この記事は「辞めるのを止める記事」ではありません。
私は7年目の冬、本気で辞めようとしました。連続の夜勤、終わらない委員会、後輩指導。ある朝、更衣室で泣いている自分に気づいて「もう限界だ」と。
でもそのとき、先に電卓を叩いたんです。
結果、「今すぐ辞めると詰む。でも半年準備すれば、いつでも辞められる」ことがわかりました。そして不思議なことに、「いつでも辞められる」状態になった途端、心がすっと軽くなった。
辞めたい気持ちが本物かどうかより先に、お金の準備の話をさせてください。準備ができている人だけが、「辞める・残る・働き方を変える」を自分で選べます。
辞める前チェックリスト:お金の準備7つ
① 生活防衛資金は「生活費6ヶ月分」あるか
- ☑毎月の生活費(家賃・食費・通信・保険など全部)を把握している
- ☑その6ヶ月分の現金がある
転職活動の平均期間は1〜3ヶ月ですが、心が疲れた状態で「休んでから考えたい」なら6ヶ月は見るべき。焦って条件の悪い職場に飛びつく最大の原因は、残高の減りが怖くなることです。
② 辞めた翌年の「住民税」を試算したか
看護師が退職後に一番驚くのがこれです。住民税は前年の所得に対して翌年請求されます。
| 前年の年収 | 退職後に来る住民税(年額目安) |
|---|---|
| 400万円 | 約18万円 |
| 450万円 | 約21万円 |
| 500万円 | 約25万円 |
夜勤を頑張った年ほど、辞めた後の請求が重くなる。「収入ゼロなのに月1.5〜2万円の納付書が届く」のを知らないと、心が折れます。
③ 社会保険の切り替え費用を知っているか
退職して次の職場までブランクがあるなら、国民健康保険+国民年金で月3〜5万円程度の負担が発生します。任意継続(今の健保を最大2年継続)と国保、どちらが安いかは総務に聞けば試算してくれます。
④ 有給休暇の残日数を確認したか
- ☑有給の残日数を把握している(20〜40日残っている人が多い)
- ☑消化するか、買い取り制度があるか就業規則で確認した
有給30日をそのまま捨てると、日給換算で30〜40万円をドブに捨てるのと同じです。退職日を決める前に必ず確認を。
⑤ 退職金の支給条件を読んだか
病院の退職金は「勤続3年以上から」「5年目から急に増える」など、あと数ヶ月で金額が跳ねる規定になっていることがあります。就業規則の退職金規程を読んで、自分の勤続年数と照らし合わせてください。私の病院では、勤続7年と8年で約30万円違いました。
⑥ 失業手当(雇用保険)の条件を知っているか
自己都合退職の場合、基本手当は約2ヶ月の給付制限の後から。金額はおおむね退職前給与の50〜80%×90〜150日分です。「辞めてすぐもらえるわけではない」ことだけは先に知っておきましょう。
⑦ 積立投資は「止めない」設定にしたか
意外に思うかもしれませんが、退職準備中でも積立投資は基本止めません。ただし金額は見直します。私が夜勤を減らしたときは月3万→1万円に下げました。「ゼロにしない」ことが、再開のハードルを消してくれます。詳しくは夜勤を週1回減らしたときの準備の話に書いています。
「辞める」以外の選択肢も、お金の目で見ておく
チェックリストを埋めながら、同時に考えてほしいことがあります。辞めたい理由が「夜勤がつらい」「人間関係」「給料が低い」なら、選択肢は退職だけではありません。
| 選択肢 | 年収への影響 | 心への影響 |
|---|---|---|
| 夜勤を減らす | −30〜60万円 | 睡眠が戻る |
| 部署異動 | ほぼ変わらず | 人間関係リセット |
| 転職(同規模病院) | ±0〜+30万円 | 環境次第 |
| 転職(クリニック等) | −50〜100万円 | 夜勤ゼロに |
| 一度退職して休む | −数百万円 | 完全リセット |
大事なのは、どれを選んでも「準備した人」は損しないこと。私は結局「夜勤を週1減らす」を選びましたが、それができたのも辞める準備をしていたからです。
よくある質問
Q. 貯金がほぼゼロです。それでも辞めたいくらい限界です
A. 心や体が壊れる前に離れるのが最優先です。その場合は「退職前に転職先を決めておく」一択。収入の空白を作らなければ、貯金ゼロでも詰みません。
Q. 準備に何ヶ月かかりますか?
A. 私の場合、①の6ヶ月分を貯めるのに5ヶ月かかりました。②〜⑥の「調べる系」は1週間で終わります。まず調べる系から始めると、必要な貯金額が明確になります。
今日からできる1アクション
就業規則(退職金規程・有給の扱い)を読む。 総務にPDFをもらうだけです。5分で、あなたの「辞める自由」の値段がわかります。
まとめ
- 「辞めたい」と思ったら、感情より先に電卓
- 特に見落とすのは住民税・社会保険・有給・退職金の4つ
- 準備の完了=「いつでも辞められる」は、それ自体が心の薬になる
- 辞める・残る・減らす、どれを選んでも準備した人は損しない
退職届はいつでも出せます。でも、お金の準備は「辞めたい」と思ったその日から始めた人が勝ちます。