同じ転職で、年収が50万円違った同期の話
私の同期に、ほぼ同時期に転職したAとBがいます。経験年数も診療科も同じ。なのに転職後の年収は約50万円違いました。
差がついた理由は、能力ではありません。準備です。
Aは疲れ切った状態で「早く決めたい」と1社目に即決。Bは在職中から3ヶ月かけて情報を集め、賞与実績と昇給実績で職場を選び、給与交渉までやりました。
この記事は、Bのやり方+私自身が夜勤削減の交渉前に調べたことを、「損しない転職の進め方」としてまとめたものです。
損しない転職の全体像:5ステップ
- 現状の棚卸し(1週間)— 今の給与明細と就業規則を読む
- 情報収集(2〜4週間)— 相場を掴む。この段階では応募しない
- 応募・面接(1〜2ヶ月)— 2〜3施設を並行
- 条件交渉・内定(1〜2週間)— 材料を持って交渉
- 退職手続き(1〜3ヶ月)— ボーナスと有給から逆算
ポイントは、ステップ1と2に全体の半分の時間をかけること。ここを飛ばした人から順に損します。
ステップ1:自分の「現在価値」を数字にする
転職の交渉材料は、実はぜんぶ手元にあります。
- ☑直近12ヶ月の給与明細(額面・夜勤手当・残業代の内訳)
- ☑源泉徴収票(昨年の年収の証明)
- ☑賞与の支給実績(何ヶ月分か)
- ☑持っている資格・委員会・プリセプター経験のリスト
特に給与明細は重要です。「現職で年収480万円です」と数字で言える人と「たぶん450万くらい…」の人では、提示される条件が変わります。看護師の給与明細の読み方は手取りの解説記事にまとめています。
ステップ2:求人票は「4つの数字」で比較する
求人票の「月給28万円〜」だけ見て応募するのは、値札を見ずに買い物するのと同じです。
| チェック項目 | 見るべき数字 | 損の大きさ |
|---|---|---|
| 賞与 | 前年実績(○ヶ月分) | 年30〜80万円 |
| 昇給 | 年1回・平均額 | 10年で100万円級 |
| 退職金 | 制度の有無と勤続条件 | 数百万円 |
| 夜勤・オンコール手当 | 1回あたりの単価 | 年10〜30万円 |
「賞与あり」としか書いていない求人は、面接かエージェント経由で必ず実績を確認。ここを聞くのを遠慮した人が、入職後に一番後悔します。
ステップ3:転職サイト・エージェントの使い方(本音)
私のスタンスは「使うけど、頼り切らない」です。
使う価値があること:
- 非公開求人と内部情報(離職率・師長の人柄・残業実態)
- 賞与実績や手当など「聞きにくい数字」の代理確認
- 年収交渉の代行(自分で言いにくいことを言ってくれる)
注意すべきこと:
- エージェントの報酬は紹介先からの成功報酬。早く決めさせたい力学が働く
- 「今決めないと埋まります」は基本、営業トーク
- 合わないと感じたら担当変更・複数社並行は普通のこと
つまり、情報収集の道具として使い倒し、意思決定は自分の数字でやる。これが損しない使い方です。2〜3社に登録して求人の重なりを見ると、相場がかなり正確に掴めます。
ステップ4:年収交渉は「お願い」ではなく「提示」
交渉というと身構えますが、やることはシンプルです。
「現職の年収が○○万円です(源泉徴収票あり)。夜勤○回・プリセプター経験・○○委員会をやってきました。同水準以上を希望します」
これだけ。感情ではなく書類で話すのがコツです。上振れしなくても、下振れはほぼ防げます。
ステップ5:辞めるタイミングはボーナスから逆算
損しない退職スケジュールの基本形です。
- ボーナス支給日を確認(多くは6月・12月)
- 支給日の後に退職意思を伝える(就業規則の「○ヶ月前まで」を確認)
- 有給消化期間を退職日の前に組み込む
- 転職先の入職日は「退職日の翌日」にして社会保険の空白を作らない
たとえば12月賞与をもらって辞めるなら、「12月支給→1月に退職届→2〜3月有給消化→4月入職」が定番です。辞める前のお金の準備全般は辞める前チェックリストにまとめています。
よくある質問
Q. 在職中と退職後、どちらで転職活動すべき?
A. 収入の空白を作らない在職中が原則です。心身が限界なら退職後でOK。ただしその場合は生活費6ヶ月分の準備が先です。
Q. 転職で年収は本当に上がりますか?
A. 「同業態への転職」なら±30万円程度が現実。上げたいなら訪問看護・美容など業態を変えるか、夜勤・手当の構造で選ぶ方が確実です。働き方別の年収比較も参考に。
Q. 何ヶ所くらい受けるのが普通?
A. 2〜3施設の並行がおすすめ。1社だけだと比較軸がなく、「ここしかない」と思い込んで条件を飲みがちです。
今日からできる1アクション
直近3ヶ月の給与明細を引き出しから出して、額面・夜勤手当・控除を眺める。 転職するかどうか決めていなくても、自分の現在価値を数字で知っておくのは無料です。
まとめ
- 転職の損得は、応募前の「準備」でほぼ決まる
- 求人票は賞与実績・昇給実績・退職金・手当単価の4つの数字で比較
- エージェントは情報収集に使い倒し、決断は自分の数字で
- 退職はボーナス支給日と有給から逆算
- 交渉は感情でなく、給与明細と源泉徴収票で
転職は人生で数回しかない「年収を一気に動かせるイベント」です。焦らず、数字で。